何かと話題に上ることが多い電子書籍関連のニュースだが、米国で電子書籍の価格操作をめぐる裁判が行われていることは最近まで知らなかった。


米司法省は、Appleと大手出版社5社が協定を結んで、電子書籍の小売価格を引き上げた疑いがあるとして訴えているものである。米司法省はこれが米国の米シャーマン法、日本で言うところの独占禁止法に違反していると主張している。


訴えが起こされたのは2012年4月。で、今年2013年の6月3日(米国時間)に裁判の初日を迎えた。この日までに前述の出版社5社は既に米司法省と和解しており、Apple社だけが和解を拒否して徹底抗戦の構えである。


法的な細かいところは正直詳しくはないので語ることはできないが、違和感を覚える裁判である。


というのは、米司法省が、Appleを含む6社が書店が販売価格を設定できる従来の契約形態を、出版社側が価格の決定権を握る形態に移行した為、それまで電子書籍販売の分野で支配的立場にあったAmazonの活動の場を様変わりさせたと指摘している点である。そのことでAmazonで今まで9.99ドルで売られていた新刊やベストセラーの電子書籍が、12.99ドル~14.99ドルになったというのである。


さて、ここでシャーマン法についての理解が必要になってくる。詳しくはwebで検索すればわかると思うので、ここでは簡単に。一言でいえば、「メーカーと販売店、販売店同士などで、価格の設定や取引の条件に関するあらゆる合意を禁止します」といったところ。もちろん法律の文面通りに解釈すると、ほとんどの商取引が違反になってしまうので、判例の蓄積から違法行為がどのようなものかを判断しているということらしい。


この曖昧なところが釈然としない理由の一つ。釈然とする為にはさらにその判例の蓄積について学ばなければならないという事だろう。


今回の件はメーカーと販売店が、合意して価格を操作する垂直的取引制限というのに当たるようだが、それによって消費者が不当に高い金額を払わされることになったということが米司法省の主張。


Apple側は新市場への参入に伴う通常のビジネス慣行の一環で、出版社との取り決めも不当なものではないと主張している。


——ここからは私見になるので、良かったらおつきあい下さい——


もちろん消費者にとっては価格は安い方がいいことには違いないのだが、メーカーサイド・この場合は出版社と販売店で値段を決めてはいけないの?という素朴な疑問が起きる。消費者に対して不当に不利になるような取り決めが行われて、一部の大手企業のみが儲かるという図式は確かに良いことではないだろうし、それを防止する為の法律でもあるはずなので、その事自体を否定する気は全くない。


ただ、販売店が安売りばかりに走って利幅が少なくなったり、メーカーに対し卸値に関しての圧力をかけたり、薄利多売で社員の労働環境が悪くなったり、メーカーの利益が圧迫されることでの弊害はどうなんだろう?


もちろんその為の法律もあるのだけれど、消費者はその商品に見合った価格であれば買うし、見合わなければ買わない。もしくは他のメーカーの商品を買うのだと思う。当然そんなことはメーカーも販売店も熟知しているのだろうから、無茶をすれば自分自身の首を絞めることになるのはわかっているだろうし、企業努力で価格に見合った良い商品を作ろうとする。もしくは生産コストを下げていこうと工夫するのが普通の姿だと思う。その結果適正な価格が決まってくるだろう。


だから、そこで商品の価格に対する合意があってもいいんじゃないかとすら思えてくる。


すごく乱暴な意見を言ってしまうと、この法律って「消費者はあまり賢くないから簡単に騙されるので、ちょっと頭のいい人は共謀しちゃ駄目よ」ってことに思える。


これは私見なので、気に触った方や異論のある方はお許しいただきたい。そもそも法律はそういうものなのだともいえる側面もあるし、それによって守られる人がいることも事実だから。


米国の法律にとやかく言っても仕方が無いので、まずはこの裁判の行方を見守っていこうかと思っている。次回は6月13日にAppleのシニアプレジデントの証言が行われる。


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