あなたの犬の飼い方は、間違っている!

犬を「買う」のは簡単だが、「飼う」のはホントに難しい。


日本では四軒に一匹の犬がいて、その数1034万匹。年間140万匹の子犬が生まれ、なんと日本人の出生数よりも多い。今や大切な家族となった愛犬だが、飼い主が「よかれ」と思ったことも、犬には大迷惑なことも多いのだ。ペットスクールを長年主宰してきた著者は、最近の人と犬との歪められた関係を「ニューオーナー・シンドローム」と呼んで警告を発し、本来あるべき飼い主の姿を教えてくれる。

たとえばーー。犬に引っ張られて散歩してはいけない。人の先を歩く犬は、主従の関係がわからなくなり、情緒が不安定になってしまう。生後90日経ってから犬は買うこと。可愛いさかりは生後40日だが、そのころはまだ親離れしていず、感染症に罹りやすいのだ。


内容紹介

「はじめに」より抜粋

犬バカ飼い主に、犬は呆然

ペットは可愛い。なかでも犬は可愛い、という人が数多くいる。なにせ、この日本には、ほぼ1034万頭(2014年)の犬がいるのである。我が国人口のおよそ一割強。それだけの頭数がいるならば、飼い主の数も膨大になる。

北米では四世帯に一軒が犬を飼っているそうだが、我が国の世帯数は2013年で約5500万。単純計算でいけば、ほぼ五世帯に一軒が犬を飼っていることになる。実際には一軒で何頭も飼っている家があるだろうし、ペットショップやブリーダー、犬の訓練所もあるから、比率はもう少し低くなる。それにしても、古い言い回しで恐縮だが「向こう三軒両隣」、周りに五軒も家があれば一軒は犬を飼っているといって間違いではあるまい。

さてそこで、それだけ多くの飼い主のみなさんが、犬を飼うための愛情と思いやり、その知識と環境をすべて兼ね備えているのであれば、犬は幸せ、幸せな犬と一緒にいる飼い主も幸せ、となるわけだ。が、である……。

世のなか、とんでもない飼い主のいることが、メディアで報じられるし、いやいやメディアのご注進を仰がずとも、ご近所を見回すだけで、そんな飼い主を垣間見るのは、それほどむずかしいことではない。

まして、私のように全国を飛び回って、犬についてのさまざまを、愛犬家諸氏にお話ししている身としては、お出でいただいた飼い主から飛び出す犬への接し方を聞くたびに、絶句すること多々。大げさではなく、呆然とするのである。

ここで少々、私のことを紹介したい。「なんの資格があって、おまえは犬と飼い主のことを、さも訳知り顔に話すのか?おまえは獣医なのか、それともドッグトレーナーなのか?」という飼い主の方の疑問、というより詰問が飛んで来そうに思えてならないからだ。

私の肩書きは、「P・S・Gジャパンペット総合スクール理事長」(農林水産省・環境省認可、協同組合ペット・サービス・グループ指定校)である。平たく言えば、犬も含めてペット全般に関わる食餌から健康、指導に関わるサービスを行なう立場にいる。ペット業界どうし、業界と飼い主、専門家と飼い主、そうした人たちをつなぐペット・コンサルタント、コーディネーターの役割を担っているわけだ。

といって、犬やペットの専門トレーナーではない。躾に関してはインストラクターの方々の専門分野である。私としては、その境界を越えて無責任なことを言うつもりはない。

ただ、私は、ペットフードの営業マンをきっかけにペット業界にかかわって約20年、日本全国津々浦々をまわり、これまでに三万頭の家犬、つまりペット犬のことだが、それと四万人の飼い主にお会いしてきた。おそらく飼い主とペット犬の実例を、これほど見てきた人間はいないと自負している。

余談だが、そんな私の全国行脚を見て、おこがましいけれど「フーテンの寅さん」に倣って「フーテンの勝ちゃん」と呼ばれるようにもなった。「それを言っちゃあ、おしまいよ」は寅さんの決め台詞だが、行脚を重ねていると、「それをやっちゃあ、おしまいよ」と言いたくなるような飼い主の行き過ぎた愛情を目にすることも多かった。

そうしたなか、印象的だったのは、「犬バカ」飼い主に一再三再ならず出くわしたことだ。私は、ずけずけとそう言うのだが、人間心理とは不思議なもので、「バカ」「アホ」と言われたなら色をなすだろうに、「犬バカ」と言われても、照れ笑いや苦笑するにしろ、気分を悪くする人はいない。

一方、そんな飼い主を仰ぎ見て、困ったような顔をする犬もいる。どうも、都度つど「ありがた迷惑だなぁ」との表情が読み取れるペット犬がいたのである。他人事ながら、そのたびに心配することもあった。

飼い主の行き過ぎた愛情ゆえに起こるペット犬の悲喜劇。程度の問題で微笑ましいぐらいのこともあれば、犬に深刻なダメージを与える接し方もあるのだ。


〝僕たち〟にだって気持ちはある

犬をペットとして飼うのであれば、まず犬の気持ちを知る必要があるし、生き物を飼うのであればそれぐらいの努力は、犬に対する礼儀であろう。といって、犬は人間のような言語を持たない。はて、ではどうやって犬の気持ちを知るのか。

すでに、ペット犬オーナーならば先刻承知、これから初めて犬を飼おうとする方ならば、彼らは自分の気持ちを表わすのに、目や耳、口、啼き声、シッポ、行動や姿勢で信号を送ることを知っておくことだ。すでに飼っている方は、「シッポを振っているから喜んでいるのだろう」とか、「自分の顔をペロペロ舐めるから嬉しいのだろう」とか、犬のさまざまな動作で彼らの気持ちを推測していることだろう。

では、実際の犬の気持ちはどうだろうか。14〜15ページに犬の動作と気持ちをクイズ形式にまとめたので、初めて犬を飼う方はもちろん、「うちの子のことは大丈夫」と思っている飼い主のみなさんにもこの機会に、自分の知識・推測が正しいかどうかを試していただきたい。

相手がたとえ言葉を持たない犬であろうと、思いやりの気持ちがあれば推察でき、お互いに通じあえると思ってもらいたい。そのためにも、飼い主は犬の動きの意味するところを覚えておくと便利なのだ。それによってコミュニケーションがスムーズになるからである。

幸い、いまは犬に関する多くの書籍が刊行されている。ことに犬の動作をイラスト入りで簡潔に解説した『ワン和辞典』(小暮規夫監修、二見書房)は、わかりやすいのでお薦めしておく。

また、スタンレー・コレンさんの文春文庫の三冊(参考文献参照)には、本書を書くに当たって、犬の生態における科学的な知識と示唆をいただいた。コレンさんの本なくしては、本書はなかったものとお礼申し述べたい。

話は突然変わるが、1600年代前半に、「動物は魂のない、機械に過ぎない」(機械的生命論)とし、動物の理性、知性、意識を否定したという本が著わされていたことを知って、仰天したことがある。著者は、有名な哲学者のルネ・デカルトだ。

どうも当時のキリスト教教会の影響下にあったということらしいが、それにしてもデカルトの論はあまりにもバカげていた。しかも、いまの世であっても、欧米では、デカルトのそんな考えを根強く引きずっている学者がいるというから、あきれた話である。あの有名な哲学史上の命題「我思う、ゆえに我あり」を唱えた人物にして、そう考える。まったく、ろくでもない。

いやはやだが、ただし、デカルトのような考えは、日本人にはなじまない。縄文の昔から万物には神が宿るとし、仏教伝来後も「山川草木悉皆成仏」とした我が国では、たとえ犬が言葉を使えないにしても、魂はあり、思考力もありと、なんの疑問も抱かず慈しんできたのである。

といって、「親馬鹿子馬鹿」(親は子を溺愛して子がバカなのを知らず、子はそれに馴れてなおバカなことをする)、「寵愛高じて尼にする」(娘を可愛がりすぎて嫁に出すチャンスを失い尼にしてしまう。可愛がりすぎると、当人が悲しむ)の喩えありで、あまりに可愛がりすぎると、飼い主のためにも犬のためにもならないのは、理屈ではおわかりのはず。そんな実例を示しながら、飼い主のペット犬への接し方を見直してみたいと考えたのが、本書である。

以後、私の知る限りのそうした実例を引き合いに出し、それが愛犬にどんな結果をもたらすのか、解き明かしていこうと思う。

飼い主のみなさんには、乱暴な言い回しはご辛抱いただき、しばらく本書にお付き合いをお願いしたいと希うところであります。


はじめのご挨拶に加えて、私が近年積極的に活動している「ペット新産業人会議」についてご紹介させていただきたいと思います。


ペット新産業人会議の設立趣旨

日本では、改正動物愛護管理法の施行で改善のきざしは出てきましたが、ペットショップの店頭に幼齢な子犬や子猫を展示して、それを購買していく消費者といった生体販売のスタイルは、大きく変わってはいません。そして、遺伝的疾患や感染症などによる健康トラブルとともに、幼いうちに親兄弟と引き離されることによる子犬の社会化不足に起因する問題行動の発生によって、不幸なペットと飼い主が少なからず生み出されているのです。

ペットショップの売りっぱなしの姿勢も批判を受けています。その改善には、ペット産業に関わる人たちが、「ペットとの暮らしを通じて、命を慈しむ気持ち、思いやりの心、家族や親子の絆を育む」といった「人間の社会にとっても大きな影響を与える産業を担っている」という意識を持たなければなりません。ペット新産業人会議には、ペット業界で活躍している方々はもちろん、獣医師を含む学識経験者や教育者、出版・マスコミ業界、福祉関連団体、人材育成産業界、金融業界などから多士済々の有識者の参加をいただいております。

その方々の英知と経験を、ペット業界の発展と健全化に役立てるためのコーディネイトが、ペット新産業人会議のひとつの使命です。ペットショップの商品販促や顧客向けサービスの支援、スタッフ向けの人材教育といったビジネス支援だけではなく、一般の飼い主向けの教育啓蒙活動、里親会への支援といった社会貢献活動まで、あらゆる分野で必要とされる専門性を提供していこうというものです。


著者紹介

勝俣 和悦(かつまた・かずよし)

1948年東京都生まれ。帯広畜産大学卒。獣医学と畜産学を学ぶ。丸大食品に入社後、丸大ペットフードの設立、シービーフーズ取締役を経て独立。現在ペット総合コンサルタント、ペット総合プロデューサーとして、講演活動、ペット業界社員教育、ペットなんでも相談会などを積極的に行う。PSGジャパンペット総合スクール理事長、GLGグループペット国際コンサルタントを務める。


お詫びと訂正

本書《改訂版 となりの「愛犬バカ」》におきまして誤りがありました。
正しくは以下の通りです。


〇 P57 右下「その他の注意すべき食品」枠内
(誤) アサビ
(正) アセビ

〇 P64 8行目
(誤) 食べ物は少しでも水気を含ませたもののほういい。
(正) 食べ物は少しでも水気を含ませたもののほうがいい。

〇 P113 16行目
(誤) 少なくとも計上126頭の犬が
(正) 少なくとも計126頭の犬が

〇 P113 20行目
(誤) その後落ち首いたため、
(正) その後落ち着いたため、

〇 P114 3行目
(誤) 栃本のケースでは
(正) 栃木のケースでは

〇 P114 4行目
(誤) 木箱に入れてトラックで迎ぶ途中に
(正) 木箱に入れてトラックで運ぶ途中に

〇 P115 6行目
(誤) 環境省の担当者は「実態把握にを進めたい」としている
(正) 環境省の担当者は「実態把握を進めたい」としている


読者の皆さまならびに関係各位にご迷惑をお掛けしましたことをお詫びするとともに、ここに訂正させて頂きます。

PDF版「お詫びと訂正」はこちら


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