「All About」がKindleストアへ6月末から多い時で1日に2000冊以上、約半月で6500冊の電子書籍を投入してきた。内容はAll Aboutが提供している電子書籍「All About Books」。


「All About」は生活総合情報サイトとして日常必要となるような様々な情報を専門家がまとめているサイトと思っていただければいいだろう。ちょっとした冠婚葬祭のマナーについて等、身の回りの何かを調べたい時には重宝するサイトでもある。おそらく皆さんもお世話になったことはあることと思う。その中の人気コンテンツをまとめて電子書籍として販売していたのが「All About Books」だ。1冊おおむね250円~480円。


このコンテンツを一挙にKindleストアに投入してきた。さすがにこれだけの量を短期間にこなすにはいくら元々の電子書籍データがあるとはいえ、相当な労力であっただろうことは想像できる。おそらく、プログラムによる一括変換で処理してはいるのだろうけど、それにしてもだ。当然、粗も目立つ結果になる。ほとんどの本が、一律250円になっているのだが、内容ボリュームの差が激しい。電子書籍の場合、デバイスや表示の選択によってページ数が変化してしまうので、Kindleストアで提示される推定での「紙の本の長さ」の部分を参考にすると8ページのものから30~40ペジのものまで同じ値段。(4ページのものはさすがに95円だった)表紙のデザインは統一されていて、基本的に肩ロゴ、本のタイトル、その下に大きくAAの文字。統一されているのでひと目でシリーズと分かる点は良いと思えるのだが、本のタイトルを見て???となる。


文字組がめちゃくちゃ。例えば「心に残る結(改行)婚式スピー(改行)チ」「長財布と黄(改行)色い財布、お金が貯ま(改行)るのはどっ(改行)ち?」「聞きたいけ(改行)ど聞けない(改行)、歯のかぶ(改行)せものの話」と言った具合。本文中ならともかく表紙でこれは正直読みづらい。


SAMPLEでは内容までは見れないので、確かなことは言えないが、内容は「All About」からのものであるから、それなりの商品価値はあるだろう。便利情報としてみる分にはこれでも良いと言える。


さて、但しここで気がかりな点。


Kindleストアの電子書籍の買い物は非常に便利だ。「1-Clickで今すぐ買う」ボタンをチョン!で買い物終了となる。先ほどのページ数の目安は決して目立つ訳ではない。ここで何が起きるかは想像できる。


「読みたいと思える内容のものを見つける→250円ならまあいいか。紙の本よりは安いだろうし→ボタンをチョン!→さて読むか→!!!!内容これだけ!こんなちょっとで250円って。100均で売ってる本の方がボリュームあるし!!→そもそも元々はサイトでただで見れたものでしょ!」


なんてところでしょうか?「All About」は決して悪くは無いんです。ユーザーがよく確認しないで購入するからこういうことになります。しかしあの「All About」の名前で売っているのだから信用しますよね。これだけの量があればそれなりにしっかりしたシリーズものと思いますよね。内容そのものは少なくともちゃんとした内容。でも…。


このユーザーが「All About」だけではなくKindleストア、電子書籍に持つイメージはどうなるだろう。その時に感じているものは、言葉は悪いかもしれませんが「ぼったくられた」という感情ではないだろうか。


これは身近にわかりやすい例、問題はここから広がる。


電子書籍は、紙の出版のような費用がかからない。比較的手軽に全くの素人が個人でも出版することさえも可能だ。ましてNet上のコンテンツを持っている様々な会社ならば、容易くそのコンテンツを電子書籍化していくことができる。同様に、大量に。


紙の本ならば店頭で確認して購入することができる。雑誌等は最近はビニールカバーで内容を見ることができない場合も多いが、書籍の場合はある程度内容を把握した上で購入できる。電子書籍の場合はいくらSAMPLEがあるとは言っても、満足に内容を確かめられるケースは稀だ。このことをきちんと配慮してコンテンツを送り出すことが「電子書籍」そのものの市場を守り、活性化していくことになるのではないかと思う。


既存の出版社が自社の書籍を電子化する場合は、このような問題はほとんどないと言えるだろう。彼らは良くも悪くも既存の方法論、経験則に従っているから。


ただ、手軽に参入できる電子書籍にこれまでとは全く違う方法論で参入してくる会社は多いことと思う。


粗悪な商品が乱発されることは、業界の成長の過程で避けることができないのかもしれない。ユーザーも学んでいく必要があるだろうし、また様々な情報がネット上で飛び交うことだろう。「賢い電子書籍の買い方」みたいな「電子書籍」が発行されるかもしれない。それはそれでいいのだと思う。


ただ、「All About」ほどの会社が、決して粗悪な商品でなないにしろ、気遣いの欠けたとも感じられる「はったりのような」、もしくは「とりあえず儲けよう的」な商品の展開をしていることに非常に危惧を覚えた。


むしろ今後増えていくだろう同様の業種からの電子書籍業界参入の手本となって欲しいと思うのである。今回のコンテンツの展開の仕方についてはとても残念に感じる。


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