国産の電子書籍ストアとしては最強だが・・・

いわゆる既存の出版社ではない法人・個人が電子書籍を販売しているマーケットはKindle(キンドル)、iBooksそして楽天Koboでしょう。


自分たちがそうなのですが、ほとんどの場合、KindleとiBooksをメインにしていて、他のリーダーやマーケットについては、あまり知らなかったりします。今回はKindleでもiBooksでも楽天KoboでもないKinoppy(キノッピー)のストアーの特徴などを中心に紹介しています。


Kinoppy(キノッピー)は端末によって電子書籍の価格が違っていたり「エロエロ草紙」が登場したりと、いろいろあったので、いろいろと書いてみました。


健闘するKinoppy(キノッピー)

Kindle(Amazon)、iBooks(Apple)いずれも海外のストアで、リーダーです。そしてKoboもカナダの会社を楽天が傘下においていますが、外国産です。


ストアのシェアでも海外勢におされまっくている感のある国産勢。そんななか健闘しているのが、マルチデバイス対応を掲げる国産の電子書籍ストア「紀伊國屋書店Kinoppy(キノッピー)」です。


「紀伊國屋」ですら電子書籍では国内3位かという印象はありますが、健闘しているにはちがいありません。

参考:

OnDeck電子書籍ストア利用率調査
アップルiBookstoreが初登場で2位
2人に1人はKindleストアを利用
「電子書籍ストア利用動向調査—OnDeck 2013年4月調査版」6月7日発行

※調査対象は限定されていますが、参考になります。

調査対象:インプレスR&Dが発行する電子出版産業に携わる人向けのEPUBマガジン「OnDeck weekly」の読者


電子書籍ストア「Kinoppy(キノッピー)」の特徴

Kindle、iBooksそして楽天Koboと比べてストアとしての大きな特徴は、洋書の品揃えの悪さ。せっかく英語多読にもってこいの電子書籍なのですが、タイトルがなければどうにもなりません。Kinoppy(キノッピー)より洋書はありますが楽天Koboも品揃えは良くありません。英語多読をするならこの2ストアはオススメからはずれます。


次に個人・法人を問わず出版社で無い者が本を出版・販売しようとする際の敷居の高さです。


1年以上前に問い合わせをして返事がなかっただけなので、実際に敷居が高いのかどうかは不明です。ただ、Kindleや楽天Kobo、iBooksのように新規参入者の出版方法などの情報がWEB上でもなかなか見当たらないこと。


また楽天Koboが2012年7月に国内でスタートした際、1か月以内に電子書籍の販売にこぎつけたこと、KindleやiBooksもスタートから数週間で販売できた自らの経験と比較して、敷居が高いとしています。


いろいろと大人の事情もあるのでしょうが、Kinoppy(キノッピー)が楽天Koboに先んじてマーケットをこじ開けていたならこの順位も違うものになっていたでしょう。


Kindle、楽天Koboとの比較で特徴的なのは、iPhoneやiPadなどiOS端末のアプリ内で電子書籍が購入できること。


Kindleの場合、ユーザーは本を買うのにKindleアプリから抜けてWEBでKindleストアにアクセスし、買い物をする必要があります。なぜいちいちWEBにいかなければならないのか?アプリ内で買わせてよ!と思ってしまいます。


一方、Kinoppy(キノッピー)では、アプリ内で書籍を購入できます。当たり前のことすぎて「だから?」と思うのももっともなことです。が、iOS端末でKindleを使っているとこの当たり前のことに感動します。


Appleに手数料を落とす落とさないといった判断がそのままサービスの内容に反映されます。Kinoppy(キノッピー)はAppleに手数料を支払い、そのルールに従ってアプリ内で書籍を販売しています。AmazonはAppleへの手数料を嫌って、Kindleアプリにストアを実装しなかったということになります。

Kinoppy(キノッピー)のレビューをみると書籍を購入できないといったクレームが少なからずありました。試しに吉川英治著「新書太閤記全一冊合本版」を購入したところ全く問題なく購入→読書できているので、どのような現象なのか、今もまだ起きているのかは不明です。


存在する2つの価格

ここでふと思ったのがアプリ内課金の値段についてです。確か何段階かに設定されていて一桁単位など細かな価格設定はできないのでは??そうすると、まさか紀伊國屋書店Kinoppyが取り扱う電子書籍には、価格が2つ存在するのでは??と思い早速調べてみました。


前述の吉川英治著「新書太閤記全一冊合本版」を確認したところ、やはり価格は2つ存在しています。率直にいってしまうとこんなことがあってもよいのか?という感じですが、一つの商品に2つの価格を設定してまでアプリ内で販売すると判断した紀伊國屋書店にももちろん葛藤はあったでしょう。

紀伊國屋書店ウェブストア

価格:977円

iOS版紀伊國屋書店Kinoppy

価格:1,000円

KindleはiOSのアプリ内での電子書籍の販売をしていません、だから不親切だと思っていました。ところがKindleは不便だけど、価格は統一されていてるので筋はとおっているように思えます。結果、この点に関してはKindleのほうが読者に向いている、という考えもできますし、どちらが良いかはひとそれぞれの判断にゆだねられるのでしょう。この場合、購入者の混乱と不信感をさけるという点で価格統一が優先されるべきなのかもしれません。

この2つの価格についてネットで検索するとITmediaに面白い記事が掲載されていましたので、引用させていただきます。せっかく利益を削ってまでやっていることなのに、事情の分からない単なる一ユーザーからすれば、価格が2つあるといった不信感にしかならない、これはなんとももったいない。

Kinoppy for iOSでは、AppleIDによるアプリ内決済に対応しています。アプリ内課金を使うと、Appleへ手数料を3割払う必要があるのですが、利益を削ってもユーザーの利便性を追求した紀伊國屋書店の英断だと思います(☆+1.0)。プリペイド式のiTunes Cardは家電量販店やセブンイレブンなどで購入できるので、幅広いユーザーが利用可能ですし、割引販売されているのも魅力です。ただし、紀伊國屋書店ギフトカードは使えません。


難点として、BookWebPlusで検索すればヒットするタイトルが、Kinoppy for iOSのストアで検索しても出てこない場合があります。これは、Appleのアプリ内決済の制限で販売価格が決まった価格しか設定できず、BookWebPlusと同じ値段にできないことから起こる二重価格を防ぐため、出版社側で販売を許諾しないケースがあるためです。この場合は、BookWebPlusから購入し、Kinoppy for iOSで同期すれば読むことができます。


これでもう迷わない、電子書店完全ガイド――紀伊國屋書店BookWebPlus (3/5)より抜粋


「エロエロ草紙」と「Kinoppy(キノッピー)」

わたしが思うにKinoppy(キノッピー)がこれまでの歴史のなかで最も輝きをみせたのが、2013年の始め。文化庁が実施した「文化庁eBooksプロジェクト」の配信プラットフォームになったことではないでしょうか。

「文化庁eBooksプロジェクト」とは、2013年2月1日から3月3日まで実施されましたA。同プロジェクトの実施期間中に配信されたのは、「羅生門」(著:芥川龍之介)、「遠野物語」(著:柳田國男)や「春と修羅」(著:宮澤賢治)など13の作品です。

これらのそうそうたる作品のなかで、もっとも沢山ダウンロードされたのが『エロエロ草紙』でした・・・。

リンク:「文化庁eBooksプロジェクト」について

余談ですが「同プロジェクト」での「エロエロ草紙」のダウンロード数は1万1,749でした。


それはさておき「同プロジェクト」の配信実験のプラットフォームとして採用されたKinoppy(キノッピー)。これまでノーマークだったのですが、わたしも「エロエロ草紙」をみるために紀伊國屋の会員になりiOSにKinoppy(キノッピー)をインストールしました。


「エロエロ草紙」のほか「同プロジェクト」で配信されたコンテンツを見て、リーダーとしてもなかなかよくできているなという感想をもったのですが、前述の通り、ストアでの販売ができなかったために、以降お蔵入りになっていました。

エロエロ草紙ファンのために各ストアへのリンクを貼っておきます。

KindleとiBooksでは、なぜかしらアダルト扱いです。。。Kindleでは警告画面が表示されますが、びっくりしないでください。復刻版はAmazonでアダルト扱いされていないのに謎です。

はじめてでも楽しい古典落語 「文七元結」 ー現代訳、原文付きー

iBooks「エロエロ草紙」

楽天Kobo「エロエロ草紙」

近いうちに、EPUBリーダーとしての紀伊國屋書店Kinoppy(キノッピー)のレビューをします。EPUBが簡単に開けます。


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