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虐殺器官

ヴェーダ語の文献に見られる奇妙な計算によれば、神々の言葉に付加された人間の言葉が表現しているのは言葉全体の四分の一でしかないと見積もられている。

今から少し未来の話。主人公は米軍の暗殺部隊に所属する男。いつものように暗殺の指令が下るが、標的Aは自国民の虐殺を行う某国の国防大臣、もう一人の標的Bは彼らと同じアメリカ人。

しかし標的Bは「ここでできることはすべてした」とのメッセージを残して、すでにそこを離れていた。そして今もなお自国民を虐殺し続ける残虐な男であるはずの標的A自身も、自分がなぜ殺戮を行ったのかが全くわからないようだった。謎の男「標的B」が残した「ここでできること」とは?そして彼の目的は?ストーリーは主人公の目線で眈々と進んでいきます。

小説の中で描かれている数々の出来事やガジェットは、現在起きていること、実用段階もしくは実用化一歩手前にある技術をベースにしているものが多いため、戦闘の描かれ方や背景などは非常に生々しく、特に脳や痛みなどの感覚を適度にコントロールする技術の結晶ともいえる戦闘服をまとった兵士たち同志の戦闘シーンは、それはもう凄惨で、もうゾンビ対ゾンビといった様相です。

技術系の最新ニュースは科学の進歩や想像もしていなかった未来を感じさせてくれる一方、使い方次第でテクノロジーはこうも人間を戦闘機械化することができるのか、という不安が頭をよぎります。昔から「行きすぎたテクノロジーによって云々」的な語り口は定番ですが、この戦闘シーン描写は、その際たるものでしょう。

このような世界で心に傷や迷いを抱えながら目的を完遂すべく作戦に従事した主人公のクライマックスに向けての行動には、都度描かれる心理描写を踏まえた上で、なんとなく共感できるところがありました。(褒められる行動ではないですが、、、)

直接的にストーリーが繋がっているわけではありませんが、この物語のクライマックスを経て、以前に紹介した同著者の「ハーモニー」の世界に続いて行くのでしょう。

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