何だかなつかしいかほり漂う古典SFの短篇集。
科学の進歩とともにあらわれた空想科学小説いわゆるSF小説。科学が宗教に取って代わり、以降ある一面において科学の進歩=人類の進歩とさえいえる。旧時代と異なり鉄が海に浮かび、人が空を飛ぶ時代と相前後してSF小説が世にでてくるのは当然の流れだろう。
世界ではHG.ウエルズ(生存期間)、暗黒星の作者とフランスの人たちがこの領域を開拓した。
そして我が国では、海野十三たちがこの新しい領域を切り拓く。
彼らが何を思い科学小説に取り組んでいたのか?本書にも収録されている「十八時の音楽浴の作者の言葉」にはこのような記載がある。
「いよいよ待望の科学小説時代が来たらしいと思ったわけであったが、途端に日中戦争が始まり、出版界は大動揺を来たした。読書界も、急に落着おちつきを失い、或いは方向転換をしたり、或いは廃刊や出版止どめがあったりして、それ等のことはどっちかいうと意味なく騒ぎを惹ひきおこし、そして拡大した。」
・・・
「編集者が大狼狽した結果であるというしかいいようがない。科学小説にとっては、まことに不運なことであった。」
当時のなんだか懐かしい香りのするSFを堪能できる。
■収録コンテンツ
1.地図にない島
著者:蘭 郁二郎
2.十八時の音楽浴
著者:海野 十三
3.『十八時の音楽浴』の作者の言葉
著者:海野 十三
4.火星の魔術師
著者:蘭 郁二郎
5.人造人間
著者:平林 初之輔
6.人工心臓
著者:小酒井 不木
7.暗黒星
著者:シモン・ニューコム
訳者:黒岩 涙香
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